人が暮らしていない住まいは通気も通水もなされず、一般的に老朽化が進んでしまいます。小さな地震や台風、積雪でも倒壊する建物が出ています。また、倒壊の際に人に被害が及ぶ恐れもあります。
雑草の繁殖などにより周囲の景観を乱す恐れがあります。景観の悪化は周囲の治安の悪化につながることもあります。
不審者の不法侵入や粗大ゴミなどの不法投棄を招く恐れがあります。家の中に家財道具が揃っている住宅も標的になる可能性が高くなります。
空家は人の目がない上に枯れ草・ゴミなどがあり放火の対象となりやすいです。また地震などにおいても倒壊して避難路をふさぐといった防災上の大きな問題となる恐れがあります。
山梨県の空家率は約22%と、平成15年以降、全国ワースト1位を続けています。その数は約9万3千戸であり、甲府市と笛吹市にある住宅がすべて空家といったイメージです。空家は大きな社会問題となっています。
日本の人口は昭和42年に1億を超え、住宅着工戸数も年間100万を突破しましたが、昭和48年くらいからは、住宅に余剰が見られるようになりました。また出生数は昭和48年を、人口は平成20年をピークに減少が始まりました。経済成長とともに大量供給されましたが、住宅と人口は逆転現象を起こしたのです。平成25年の住宅総数6,603万中と総世帯数の差は820万にも及び、13.5%が空家となっています。
空家を取得した方の経緯を調べると、「相続」が52.3%と半数を超えます。相続においては、遺言がない場合、法定相続人が遺産分割協議を行いますが、裁判所への相続の相談数は年間約17万件と、死亡者の数の13.8%に達し、また、相続財産の内訳は不動産が51.2%を占め、遺産分割がされなかった不動産などが放置され、空家化する傾向にもあります。つまり、「空家問題」の多くは「相続問題」と言っても過言ではありません。
国土交通省の「先駆的空き家対策モデル事業」に採択された、山梨県出身者の専門家ネットワークが存在します。
ノーベル賞を受賞した大村智教授の韮崎市にある生家が、本県出身の一級建築士が所属する法人と韮崎市により、「蛍雪寮」として年間契約による田舎体験型シェアハウスとして復活。活気を呈しています。
大規模な旧家を、隣接する旧JA甲府本店とともに、児童の増加が著しい山城小学校の校地拡張事業用地として、約4,053㎡(約1,226坪)を甲府市に譲渡。本県出身の専門家が、相続・解体・測量・譲渡などを行いました。旧家の所有者も数十年前の同校の卒業生です。